- 【5%ルール】
- 証券化のメリットのひとつは、オフバランス化による財務体質の改善であるが、これには一定の要件が課されている。 2000年7月に発表された「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(日本公認会計士協会)によれば、「オフバランス化」=「譲渡資産のリスクおよび経済的価値の外部化」を前提に、流動化する不動産の譲渡時の適正な価額に対するオリジネーターのリスク負担金額は概ね5%の範囲内でなければならないとする。これを5%ルールという。なお、5%ルールを満たしていても、オリジネーターが不動産を買戻し条件付きで譲渡している場合や、オリジネーターが譲渡不動産からのキャッシュフローや残存価額を実質的に保証している場合などは、オフバランスが認められないので、実際の証券化に際しては、会計士などとの綿密な打合せが肝要である。
- 【90%超ルール 】
- 不動産証券化で用いるSPCや投資法人などの「器」を組成するときに、もっとも大切なことは、その器が「導管性」を有し、器と投資家の双方に対する二重課税を回避することである。すなわち、一般の法人では、利益配当は資本取引として扱われるため、損金として課税所得から控除することはできず、投資家は税引後の利益から配当を受け取ることになる。これに対し、SPCや投資法人は、一定の要件を満たせば「導管性」が認められ、利益の配当などを損金として控除することができ、投資法人などの利益は投資法人段階で課税されることなく、投資家に配分される。支払配当を損金処理するには、投資法人・SPCそれ自体が適法であるなどの要件を満たすほか、各事業年度に「当該事業年度に係る配当などの支払額が、その事業年度の配当可能所得金額の90%超」でなければならない。後者の支払配当要件を、一般に90%ルールという。額を実質的に保証している場合などは、オフバランスが認められないので、実際の証券化に際しては、会計士などとの綿密な打合せが肝要である。
- 【CAPEX】(Capital Expenditure)
- 資産の修理・改良に支出した金額のうち、資産価値を高め、またはその耐久性を増すこととなるものをCAPEX(資本的支出)という。 CAPEXは資産計上され、減価償却の対象となる。これに対し、性能回復や現状維持のための費用を修繕費という。 建物のリフォームの場合は、①建物の価値を高めているか否か、②建物の耐久性を増加させるかどうかで、資本的支出または修繕費に該当するかを区分する。
- 【CMBS】(Commercial Mortgage Backed Securities)
- 商業用不動産(オフィスビルやSC)を担保とする貸出債権を集めてプールし、この債権の元利返済金を償還原資として、格付けの異なる債券を新たに発行する仕組みのこと。デット型不動産証券化商品の代表的存在。 1983年に誕生した米国のCMBS市場は、現在、市場残高3,O00億ドルに達し、資本市場および商業用不動産金融市場の中心的地位を占めている。日本では1998年に、JPモルガンが第1号を手掛けた。
- 【CSR 】(Corporate Social Responsibility)
- 企業の社会的責任のこと。雇用の創出や税金納付などを通じ、企業は社会に貢献をしていると言えるが、カネボウやライブドアが起こした問題を引き合いに出すまでもなく、企業活動には本来、社会的倫理や環境への配慮、ステークホールダーに対して責任ある行動をとることが求められる。 また財務状況だけではなく、CSRを基準に投資判断する社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)という考え方も注目されている。
- 【DCF法】(Discounted Cash Flow Analysis)
- 不動産の価格は、理論的には、その不動産から毎年計上されると期待できる純収益と、将来売却するときに発生する回収額を、現在価値に割り戻した金額の合計額となる。DCF法は、この考え方を応用した不動産投資分析手法である。 具体的には、まず、収益用不動産から計上される投資予定期間中の各年度の純収益を予測し、これら各年度の純収益を現在価値に割り戻した金額を合計して、将来の賃貸収入から得られる純収益による価値を求める。 次に、投資予定期間が終了し、不動産を売却したときに予測される入金額も、現在価値に割り戻した価格として求める。この両者を合計した金額が、DCF法による収益価格となる。その際、主に純現在価値(NPV:正味現在価値)と投資収益率(IRR:内部収益率)が大事な指標となる。 NPVは、不動産への投資額と、将来の入金額の現在価値の合計額とを比較して、投資の有利・不利を判断する指標。NPVがプラスになれば、投資家が希望している投資採算が得られることになる。IRRは、投資物件のNPVをゼロにする割引率のことで、IRRが投資家の期待利回りより大きければ、投資家が希望している投資採算が得られる。
- 【DCR】(Debt Coverage Ratio)
- DSCR(Debt Serice Coverage Ratio)とも言う。借入金の返済能力をみる指標で、年間の純収益に対する元利返済の割合を表わす。基本式は、純営業収益 (NOI)/借入金償還額(DS)DCRが1を超えると、不動産から得られる純収益によって、借入金の元利金を返済できることになる。LTV(融資比率、掛け目)が、ある意味でストックとしての安全性を表わすのに対し、DCRは、キャッシュフローの安全性を示す。米国の銀行の融資基準では、DCR1.05~1.2といわれている。
- 【EBlTDA】(Earning Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortization/金利・税金・償却前利益)
- 収益性および財務分析では「営業利益」「経常利益」「税前利益」「税引き後利益(最終利益)」などを重要な指標としている。しかし、営業利益は減価償却の方法次第で大きく変化する。また株式売却などの益出しによって、経常利益も大きく変化する。EBITDAは「税前利益」に「支払利息」と「固定資産の減価償却費」を加えた指標。会計基準や税率などによる影響を比較的排除でき、多額の非資金費用である減価償却費を加えており、キャッシュ面からの収益力を正しく反映するので、国際間での企業の収益力比較や財務分析に特に有用とされる。なお、株価のバリエーションを行う際に用いる「EV/EBITDA倍率」は、EV(Enterprise Value/企業価値=株価時価総額+負債-保有現金)をEBITDAで割ったもの。
- 【J-RElT】
- 米国のREITなどを参考に創設された日本版の不動産投資信託のこと。投資家から集めた資金でオフィス、商業施設、住宅などの賃貸不動産を購入し、そのインカムゲイン(賃料など)や、キャピタルゲイン(売却益)を配当として投資家に分配する。2000年11月の投資信託法改正によって設立が可能となり、 2006年2月末現在、27本が東証、1本が大証、ジヤスダツク市場にも1本が上場している。
- 【LTV】(Loan To Value)
- LTVは、社債発行時における対象不動産の資産価値に対する社債元本金額の割合。不動産証券化スキームでは、優先劣後構造による内部信用補完措置を講ずるが、デットの割合、すなわちLTV により、将来の資産価値変動リスクをどの程度カバーしているかを判断できる。LTVは、稼働収益と社債償還時までに確保すべき売却金額を含めたキャッシュフローが、想定される種々のリスクにより、どのように変動するかを勘案して設定される。
- 【MBS】(Mortgage Backed securities)
- 個人向けの住宅ローン債権をプールし、それを裏付けとして発行される社債のこと。1970年に米国政府住宅抵当金庫が、住宅ローンを流動化する手段として発行したのが最初とされる。米国の資産流動化は、MBSを中心に発展した。現在、米国のMBS市場は、米国国債とほぼ同規模の発行残高を有するまでに成長している。本邦でも住宅金融公庫および民間金融機関の主導により、ようやく組成が始まったところ。なお、住宅リフォームローンや、アパートなどの賃貸事業者向けローンを原資産とするものは、CMBSに分類するのが通常である。
- 【PFI】(Private Finance Initiative)
- 1992年11月に英国で導入された概念。日本では1999年9月に法が施行された。従来、公共セクターによって行われてきた社会資本整備の分野に、民間事業者の資金・経営ノウハウ等を活用し、民間主導で効率的・効果的な公共サービスの提供を図る考え方。従って、「公共性の確保」「収益性の確保」が重視される。また第3セクター方式とは異なり、官民の役割分担の範囲・責任が、事業主体を決定する時点で明確に定められる。
なお、主な事業スキームとしては、以下の手法がある。
・BOT(Build-Operate-Transfer)
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有し、一定事業期間の維持管理・運営(Operate)を行った後、事業終了時点で公共に施設の所有権を移転(Transfer)する方式。
・BOO(Build-Operate-Own)
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有し、維持管理・運営(Operate)をするが、公共への所有権移転は行わない(Own)方式。
・ BTO(Build-Transfer-Operate)
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)した後、施設の所有権を公共に移転(Transfer)し、施設の維持管理・運営(Operate)を民間事業者が事業終了時点まで、行っていく方式。 - 【SPC】(Special Purpose Company)
- 一般に、特別目的会社と訳される。不動産をはじめとした資産を流動化(証券化)する為に設立される有限会社や株式会社のことを指す。このSPCや、資産流動化法に基づく特定目的会社(TMK)などはすべてSPV(Special Purpose Vehicle)という概念に包括される。
- 【UP-REIT】(Umbrella Partnership REIT)
- 米国でREITが急成長を遂げたのは、アップリートが1992年に登場したことによる。アップリートはREITが不動産を直接保有するのではなく、パートナーシップを通じて保有する仕組みで、不動産をREITに売却する際のキャピタルゲイン課税を繰り延べられる点に最大の特徴がある。
アップリートの仕組みは、
1.REITは投資家から得た現金をOP(オペレーテイングパートナーシップ)に拠出してゼネラルパートナーシップ(GP)の持分を取得。
2.REITに物件を拠出するオリジネーターは、その見返りとして将来REIT株に転換できる権利が付いたリミテッドパートナーシップ持分(OPユニット)を取得する。
3.オリジネーターは取得したOPユニットをREIT株に転換する。
すなわち、通常、オリジネーターはREITに不動産を拠出すれば譲渡益課税がなされるが、アップリートでは、OPユニットをREIT株に転換するまで、キャピタルゲイン課税が繰り延べられる。現在の米国REITの8割は、アップリートの仕組みを使って組成されたものといわれている。























