- 【タックスヘイブン】(Tax Haven)
- 租税回避地。オフシロアと同義。かつて英国領ケイマン島の住民が英国の難破船を助けたことに対し、永久にケイマンにおける免税を議決したことが起源といわれている。ケイマン、バハマ、バージン諸島、イギリスのマン島、ジャージー、ガンジー島などが代表的。
タックスヘイブンの特徴は、
① 非居住者に対しては所得税、相続税、キャピタルゲイン課税は徴収しない。
② 資金移動制限や為替規制は最小限度
③ 秘密厳守
④ 租税回避が国家の方針であり、法人設立から得られる登記料、法人登記更新の際の政府納付金や手続き費用を国の財源としている など
タックスヘイブンでの法人設立は非常に簡便であり、証券化においてはSPCをケイマン島に設立することが多い。 なおタックスヘイブンを用いた租税回避に対する税制として、タックスヘイブンに所在する日本法人の子会社などに留保された所得のうち、その持分担当分を、出資者である日本の法人・居住者の所得に合算課税する制度がある。 - 【チャリタブルトラスト】(Charitable Trust)
- 将来慈善団体に寄付することを約する制度で「慈善信託」と訳される。証券化では、倒産隔離のため、SPCとオリジネーターとの間の資本関係が存在しないようにすることが必要で、資本関係切断の方法として、この制度を活用する。 具体的には、チャリタブルトラストが保有する会社を、タックスヘイブン(ケイマン島のような租税回避地)に設立し、国内SPCの議決権付株式を、この会社に保有させる仕組みをつくる。これにより、“実質的な株主がいない孤児状態”ができあがる。
- 【中間法人】
- 2002年4月に施行された中間法人法に基づき、公益目的でもなく、営利目的でもない、言わば中間的団体といえる同窓会やPTA、親睦団体などに法人格を付与することを目的に設立された制度。中間法人は、社員に共通する利益を図ること、剰余金の分配が禁止されていることなどの特徴がある。また、中間法人は出資をすることが社員の要件とされていないため、オリジネーターが基金拠出者となり、オリジネーターに関与しない独立系の会計士等が社員となることによって、資金提供者と議決権を有する者とを分離することが制度的に可能となっている。 すなわち、従来、不動産流動化においては、国内SPCの持分をチャリタブルトラストが議決権を保有する海外SPCに保有させることで倒産隔離を図ってきたが、当事者、引当財産ともに日本に存在するにもかかわらず、海外弁護士を利用しなければならないこと、英訳などの煩わしさ等が課題となっていた。海外 SPCを中間法人の一種である「有限責任中間法人」に置き換えたスキームを三井住友銀行が開発し、これを格付機関各社も、一定要件の充足を条件にスキームでの利用を認めたため、急速に普及することとなった。
- 【直接還元法】(単年度収益還元法)
- 収益還元法は大別すると、単年度収益還元法と多年度収益還元法に二分される。 前者がいわゆる直接還元法で、一般には取引利回りから還元利回りを求め、対象不動産の標準的な単年度純収入を還元して、収益価格を求める。収益価格=純収益/還元利回り 採用する単年度収益は、通常初年度収益であるが、例えば初年度に多額の資本的支出が見込まれるような場合は、標準的な収支になるまでのキャッシュフロー表を作成したり、数年間の純収益を平均するなどの方法により、純収益を平準化することになる。還元利回りの査定は、主に投資家調査や取引事例調査によるが、他に「投資一団法」(借入金利・自己資本利益率を加重平均する方法など)や「利回り積み上げ法」(国債などの安定的な投資商品の利回りに対象不動産への投資のリスクプレミアムを加算する方法)がある。 簡便で取引利回りとのチェックが容易であるなどの利点がある反面、将来の収益や元本価格の変動を反映できない難点がある。
- 【定期借地権】
- 定期借地権には、
① 期間50年以上の一般定期借地権
② 期間30年以上で期間満了時に地主が建物の譲渡を受ける特約が付いた建物譲渡特約付借地権
③ 期間10年以上20年以下でもっぱら事業の用に供するための建物を所有する目的のための事業用借地権
の3種類がある。いずれの場合も、契約期間の満了によって当然に地主に対して土地が返還される内容の借地権である。従来は、例え契約期間が満了しても容易に土地を返還してもらえないという地主にとって極めて不利な制度となっていた。海外においては、通常借地といえば定期借地権であり、日本における普通借地はむしろレアケースである。 - 【定期借家権】
- 2000年3月に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって導入された。従来の借地借家法における借家権は、借家人の保護に偏った制度であったが、定期借家権は貸主と借主が対等に契約が結べる制度である。期間も借地借家法や民法の制限を受けず、契約期間の満了をもって建物(部屋)が貸主に返還され、契約の更新はない。再契約は可能だが、従来の借家権のように法定更新や合意更新で継続して建物(部屋)を借り続けることはできない。貸主と借主が合意できない場合は、借主は契約期間の満了と同時に立ち退きとなる。200㎡未満の居住用建物の場合は、借主側からの申入れから1か月で契約を終了させることができる。定期借地権とともに、不良債権の処理・不動産投資、特に不動産の証券化・都市部の土地を有効活用していくうえで必要不可欠な制度である。
- 【テイル期間】(Tail Period)
- 償還期日までにリファイナンスできなかった場合、物件売却により元本償還を図らなければならないが、そのために設けられた猶予期間のこと。
- 【出口戦略】(Exit Strategy)
- 投資のポイントは、投資資金の回収であり、そのための戦略をいかに練るかが投資の巧拙を分ける。従来の日本の不動産投資スタイルは、投資対象不動産を超長期間保有し、キャピタルゲインを狙うことであったが、今後は、インカムゲインの獲得をメインにキャッシュフローを最大限に高め、一定期間後に転売して利益を確定するスタイルに転換していく。そのなかで、投資対象不動産の売却時期・売却方法などについて戦略的に検討し、流動性をいかに高めるかという出口戦略の重要性は非常に大きい。なお、不動産の証券化において、デットで資金調達する場合は、償還期限において返済資金を確保することが必須であり、出口戦略が一層重要となる。
- 【デット 】(Debt)
- 銀行借入や社債発行(起債)などの負債にあたる他人資本調達による発行媒体をデットという。 SPCやREITの場合、所有する不動産から得られる収入に対して可能な利払いや配当余力、そして出口戦略を十分考慮してエクイティとデットのバランスを決める必要がある。
- 【テナントレツプ】(tenant representative)
- 不動産オーナーサイドではなく、テナントの代理人として、オフィスの提案や賃貸借契約など、適切な不動産戦略のアドバイスを行う立場。
- 【デューデリジェンス】(Due diligence)
- 本来は、有価証券発行時に証券取引法に定める情報公開基準を満たしているか否かについて、弁護士などが詳細に調査確認する作業をいう。本邦でも、外資などに対するバルクセールの折に認知され、近時は「買主が投資判断するうえで、事前に行う精細調査」の意味で広く用いられている。不動産証券化においては、オリジネーターやアレンジャーが対象資産について、主に物理的側面(環境問題を含む)、法的側面、経済的側面などにわたる詳細な調査を、建築士、公認会計士、不動産鑑定士などの外部専門家に委託し、リスク分析やキャッシュフロー予測を行い、投資価値を判定することになる。
- 【倒産隔離】(Bankruptcy Remoteness)
- 証券化においては、オリジネーターの信用力ではなく、証券化される資産そのものの信用力に依存した資産対応証券を発行する。たとえば、資産をSPC(証券化のための器)に譲渡した後、オリジネーターが破産し、破産管財人により直前の資産譲渡が否認されると、投資家は甚大な被害を受ける。そこで、実務上、2 つの側面で、倒産隔離を図ることが必須となる。 第1に、SPCそのものの倒産リスクを回避することである。このため、SPCが倒産しないような会社であるための「倒産予防措置」と、倒産状態になっても倒産手続きが開始されないための「倒産手続防止措置」が講じられる。 第2に、SPCが、オリジネーターの倒産手続きに影響を受けないことである。これには、オリジネーターからSPCに対して、特定資産を真正に譲渡(真正売買)することが必要で、オフバランス要件と密接な関係をもつ。
- 【投資信託】(Investment Trust Fund)
- 日銀によるゼロ金利政策が長期化したことで、個人の資金運用がブームとなっている。なかでも注目される投資信託(投信)は、投資信託委託会社が証券会社や銀行を窓口として数多くの投資家から資金を集め、運用する金融商品である。 投資家にとっては、少ない資金で多額の資金を運用するのと同様に投資対象の分散(リスクの分散)が可能で、高いパフォーマンスを目指すことができるというメリットがある。その投資対象や運用手法によって、国債や地方債、社債、モーゲージなどの債券を中心に投資する債券型投資信託と、株式を中心に投資する株式型投資信託に分類される。
- 【特定目的会社】(TMK)
- 1998年に施行された「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」とその整備に関する法律によって導入された、資産の証券化のための制度。 特定目的会社とは、従来の商法や有限会社法における株式会社・有限会社などとは異なる新しい形態の法人である。いわゆるペーパーカンパニーであり、不動産や債権などの資産を所有し、それらを裏付けとする証券を発行し、資産から得られる収益を配当あるいは利払いするための、単なる「箱」あるいは「器」としての働きをするものである。 制度上の優遇処置としては、最低資本金が少額で、取締役および監査役が最低1人で済むなど、株式会社に比べて設立が容易である。また、設立や不動産移転時の登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減、法人税の軽減など、多岐にわたる税が軽減される措置が図られている。
- 【匿名組合】(TK)
- 匿名組合は、商法535~542条に基づき設立された団体であり、組合員(出資者)が背後に隠れ、対外的には営業者の単独企業経営のように行動する特徴をもつ。出資財産は、営業者の単独所有とされる。組合に対する利益配当は法人税の課税対象でないため証券化の際に「TK(匿名組合)+YK(有限会社)」などといった仕組みで頻繁に利用される。
- 【トラックレコード】(Track Record)
- 過去の実績、運用成績のこと。プロパティマネジメントの世界では、主に「不動産賃貸収支履歴」や「建物ハード面の修繕、維持管理などの履歴」を指す。不動産取引や証券化に際してデユーデリジェンスが定着した今、修繕・維持管理などのハード面のトラックレコードは、エンジニアリングレポートの作成に必須のものである。また賃料収入・管理費・修繕費・固定資産税・火災保険料・テナント入退居などの中長期にわたる履歴が整理されていれば、その実績を前提とすることにより、将来の賃貸収支を高精度に見積ることが出来る。詳細なトラックレコードを備えた不動産は少ないが、物件個々の客観的価値を高め、不動産投資市場を成長させるには、トラックレコードの蓄積開示が不可欠であり、PM業者の果たすべき役割は大きい。
- 【トランシェ】(Tranche)
- フランス語で「ひと切れ」のことを言う。証券化で資金調達する際、リスク・リターンに差をつけた複数の社債を発行することがあり、それぞれの切り分けられた各社債をトランシェと称する。例えば、利払いの優先度合い(リスク)が異なる3種類の社債を設定する場合、最も安全性の高い(=クーポンレートの低い)社債を優先債(シニア債)、中程度の社債をメザニン債、最も安全性の低い(=クーポンレートの高い)社債を劣後債と呼ぶ。 利払いは安全性の高いトランシェから、メザニン債→劣後債の順で、順番に充当される。























